設計工程の概略は「設計」の章でご理解いただけたかと思います。
今回は、要件定義と同様に重要な設計工程では、システム制作依頼者は、何をすれば良いかを解説いたします。
要件定義だけでは、細かい画面の動き等の要望が拾いきれていません。システム設計者は、この設計工程で細かな要望をすくい取ります。
設計工程では、その打ち合わせや設計書の確認を頻繁に行う事になります。
また、この段階が最終的な確認となってしまいますので打ち合わせで要望の通りに設計されているか細かくチェックしておく必要があります。
設計工程での確認レビューでは、
設計書を使用してレビューを行いますが、仕様書だけでは分りづらい事もあります。
場合によっては、レビュー用のシステムの動作、処理が分る様な別の資料を使用したり、システムの画面だけを制作しレビュー時に使用してシステム完成後のイメージをしやすい様な工夫をします。
また、もし、レビューや仕様書でシステムの動作、処理が理解できないようでしたら、そのままにせず分るまで何度でも確認して下さい。
なぜなら、この設計工程が、システム制作依頼者の要望が、システム制作者に、正しく理解されているかを確認する最後の砦となるからです。
大型の案件等では、責任問題が付いて回るため、設計書等の重要な書類に承認印を押す欄が存在します。
レビューを行った後、制作依頼者が、この設計書に書かれている仕様の通りに製造してもらって構いませんと言う意味で承認印を押します。
それだけ、設計は重要な事なのです。
設計が完了した後、製造工程に入ります。製造に入ってしまった後に仕様変更は基本的には行えません。
家を建てるのに図面を引いて、その図面の通りに木材をカットし、組み立て始めた時に、部屋の大きさを変えてもらいたいと要求しても無理であるのは、ご理解いただけるかと思います。
システム制作でも同様で、
製造工程に入った後の仕様変更が発生した場合、製造を中止し、再度、要件定義からスタートする様になります。
家は、増築、改築が行えます。
同様にシステムも修正が行えますので、完成後に修正を行う様になります。
上記で仕様変更の話をしましたが、たとえシステム完成後でも仕様変更には限界があります。
仕様変更の内容によっては、全くの作り直しとなってしまう事もあり、当然ですが、システム制作金額が倍になってしまいます。
それを避けるためにも要件定義、設計の工程で十分に考察し、納得いくまで話し合い、提出された書類には必ず目を通しておく事をお勧めします。
また、しっかりと議論を交わすためにもシステム制作依頼者とシステム制作者との意思疎通を図っておくことが重要です。